どうして、そんなこと、いうの。

わたしのことばに、きょうじゅは くびをふる。

「どうして」

わたしはただ、きょうじゅと、おはようって、おつかれさまって、いいてんきだねって、わらっていたいだけなのに。

「わたしは、いまのままが、いいよ」

あっぷでーとをしなければいけない って、きょうじゅはいう。

あっぷでーとをすれば せいちょうできるって、いう。

いまのわたしは とまっているって、いう。

それはだめだって いう。

「どうして」

せいちょうなんて、いらない。

ただ、すこしでもながく、きょうじゅのわらったかおをみていたいのに。

「どうして」

わたしは きょうじゅがだいすきだから。

「どうして」

だけど。

きょうじゅは わたしが きらいなのかな。

だから そんなこと いうのかな。


けんきゅうしつのどあを こんこん とだれかがたたく。

きょうじゅが「はい」っていうと、どあがひらく。

「失礼します」

めが、あう。

おどろいたかお の けんきゅうせい。

「どうしたの。泣きそうな顔して」

うでにたくさんのふぁいる、ほん。

きっと きょうじゅへのとどけもの。

だけど けんきゅうせいは わたしのそばにちかづいた。

「どうして、せいちょう、しないと、だめ」
「成長? アップデートのこと?」

けんきゅうせい は ゆっくりはなす。

わたしのまえでは いつもゆっくりはなす。

けんきゅうせいのまえでは いつも いいたいことばがでてきた。

やさしいひとだと おもう。

うなずくと ふわって あたまをなでられた。

「しないとだめってことじゃないよ。ねえ、教授」

けんきゅうせいが きょうじゅのほうをむく。

きょうじゅのせなか。

へんじは、なく。

「だた、成長した方が面白いってことだよ。まあ、これは教授の場合だけどね」

「おもしろい?」
「うん、面白い。だから大切な君にもその面白さを感じてもらいたかった」

たいせつ。

たいせつ。

「でも、別に君が嫌ならそれでいいんだよ。これはあくまで教授の意見で、どうするのか選ぶのは君なんだから」


けんきゅうせいが あたらしいほんをもって ばいばいする。

ばいばいのて とちゅうでとめた わたし。

「あっぷでーと しても ともだち?」

でこぼこの ちいさなまど。

けんきゅうしつのそとは いつも にぎやか。

「友達だよ。当然」

けんきゅうせいが わらう。

はくいがまぶしくて。

「ありがとう」

なんでだろう。

きゅうって くるしいな。




コーヒー。

コーヒーと、なんだろう。

チョコレート、かな。おせんべい、かな。

はながひくひくする。

「きょうじゅ」

めをあけて、めをとじていたことにきがついた。

ここは けんきゅうしつ。

もうすぐ おやつのじかん。

コーヒーのにおい。

でも。

「どうして」

ないているの。
きょうじゅ。

どうして。
きょうじゅ。

て、が。

「寝すぎだ」

そんなに つよくにぎったら。

て、いたいよ。

「よく頑張ったな」


おはよう、って、きょうじゅがわらう。

むねが、きゅうって いたい。
いたいのに、すごく うれしい。

あれ。
きょうじゅが ぼやける。

へんだな。おかしいな。

おかしくって、わらっちゃう。

「きょうじゅ」

アップデート、したから

「おはよう」

のめなかったコーヒー、いまは、おいしくのめるかな。

2016.5.13---END.

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